「どの施設で働くか」で、介護職の仕事内容やライフスタイルは大きく変わります。滋賀県内にもさまざまな施設形態があり、それぞれに特色や働きやすさの違いがあります。
本記事では、滋賀県で介護職として働くことを検討している方向けに、主要な6タイプの介護施設を取り上げ、業務内容・給与・夜勤の有無・キャリアパス・ライフスタイルとの適合性などを徹底比較します。
Contents
1. 滋賀県の施設分布と特徴
滋賀県には、都市部と自然が調和するバランスのとれた地域性があり、介護施設の分布にもその特徴が表れています。特養(特別養護老人ホーム)は県内に約140施設あり、特に湖東地域や草津・彦根周辺などに集中しています。多床室が主流だった時代から、近年ではユニット型(個室対応)への移行も進んでおり、利用者の尊厳やプライバシーがより重視されています。
介護老人保健施設(老健)は60施設程度と数は少なめですが、医療法人が運営するケースが多く、病院併設型であることが大きな特徴です。地域包括ケアの中核を担う施設として注目されています。
また、グループホームは約200ユニットと数が非常に多く、自然に囲まれた地域や住宅街で地域住民と共存するかたちで運営されている施設が多く見られます。
2. 特別養護老人ホーム(特養)

● 特徴と仕事内容
特養は要介護3以上の高齢者が入所する「終の棲家(ついのすみか)」とも言える施設です。日常生活全般の介助が求められ、特に重度の要介護者に対するケアを中心としています。業務は身体介助・生活援助・記録業務・レクリエーションなど多岐に渡り、24時間体制で対応するため、夜勤(月4〜6回)は基本的に必須です。
● キャリアと学び
介護職員初任者研修からスタートし、実務者研修・介護福祉士を経て、ユニットリーダーや主任などへ昇格可能です。医療依存度が高い利用者の支援を通じて、看取りケアや吸引・経管栄養などの対応も学べるため、介護技術・判断力ともに大きく成長できる環境です。
● 向いている人
・重度介護にしっかり向き合いたい
・体力に自信があり、責任ある仕事がしたい
・介護福祉士を目指して実践を積みたい
3. 介護老人保健施設(老健)

● 特徴と仕事内容
老健は、医療と介護の中間に位置する「リハビリ特化型」の施設です。利用者は要介護1〜5まで幅広く、在宅復帰を目指して最大3〜6か月ほど入所します。看護師・理学療法士・作業療法士・管理栄養士など、多職種連携が日常的に行われており、カンファレンスも頻繁に実施されます。
● 夜勤と働き方
夜勤の有無は事業所により異なりますが、24時間対応のため夜勤ありが一般的です。医師が常駐する施設もあり、医療のバックアップ体制がしっかりしているため、介護職として医療知識を深めたい人には理想的な職場です。
● 向いている人
・リハビリや在宅支援に興味がある
・医療との連携スキルを学びたい
・多職種協働にやりがいを感じる
4. グループホーム
● 特徴と仕事内容
グループホームは、認知症の高齢者が9人程度の少人数で共同生活を送る施設です。家庭的な環境の中で、料理・掃除・洗濯・買い物などを利用者と一緒に行いながら、日常生活全般をサポートします。職員は介助よりも「見守り」や「声かけ」によるケアを重視し、利用者が自立的に生活できるよう支援します。
● 雰囲気と働きやすさ
家庭的で落ち着いた雰囲気の中、ゆったりとした時間の流れの中で働けるのが魅力です。夜勤はありますが、少人数対応のため業務負担が軽い場合もあります。
● 向いている人
・認知症ケアに興味がある
・家庭的な環境で関係性を重視したい
・利用者とじっくり向き合いたい
5. デイサービス/デイケア
● 特徴と仕事内容
デイサービスは、日中だけ利用する通所型の介護施設です。送迎・入浴・食事・レクリエーション・リハビリなどが主な業務で、夜勤はありません。土日休みの施設も多く、家庭との両立を図りやすい環境です。
● 明るい雰囲気と創造性
明るくにぎやかな雰囲気で、レクリエーションの企画や体操・脳トレなど、職員のアイデアや個性が活かせるのが特長です。「笑顔で過ごす時間」を提供できる喜びがあります。
● 向いている人
・子育て中や日勤のみ希望の方
・レクリエーションや人との交流が好き
・明るい雰囲気の職場で働きたい
● 特徴と仕事内容
6. 訪問介護・看護小規模多機能

利用者の自宅を訪問して、掃除・調理・買い物などの生活援助や、入浴・排泄介助といった身体介護を行います。1対1での支援のため、密接な関係性を築きやすい反面、状況判断力が問われる仕事でもあります。
● 自由な働き方
直行直帰や時給制の働き方が可能で、スキマ時間を有効に使いたい人にも向いています。看護小規模多機能では、「通い」「泊まり」「訪問」全てのサービスを提供するため、幅広い経験を積むことができます。
● 向いている人
・自由な働き方をしたい
・一人で黙々と仕事ができる
・自宅での生活支援にやりがいを感じる
7. 働き方の多様性と現場の進化
● ICTの導入で変わる介護現場
近年、介護業界にもICT(情報通信技術)の導入が急速に進んでいます。
記録業務の電子化や、バイタル測定の自動化、見守りセンサーの設置などにより、スタッフの業務負担は大幅に軽減されつつあります。特に介護記録のタブレット入力は、紙ベースの管理に比べて時間効率が良く、情報共有もスムーズです。
また、AIやセンサーによる見守り支援が導入されている施設では、夜間の巡回回数を減らすことができ、職員の心身の負担軽減にもつながっています。滋賀県でもICT導入に補助金を出す自治体があり、今後さらに活用が広がっていく見込みです。
ICTに強い施設は、業務の効率化だけでなく、「働きやすさ」の視点からも注目に値します。
● 未経験者や主婦層も活躍中
介護業界は無資格・未経験から始めやすい業界として知られています。特に、育児がひと段落したタイミングで復職する女性や、子育てと両立しながら働く主婦層の方も多く活躍しています。
デイサービスや訪問介護などでは、「週2日・短時間」など柔軟な働き方が可能な職場もあり、子どもの学校行事や通院に合わせてシフトを組めるケースも珍しくありません。ライフスタイルに合わせて、働く時間・曜日・場所を選べる点は、他業種にはない大きな魅力です。
また、育成制度が整っている施設では、先輩職員によるOJTや、eラーニングなどを通じて、無理なくスキルアップしていける環境が整っています。
● 最初に選びやすい施設とは?
介護職が初めての方には、グループホームやデイサービスのような比較的落ち着いた環境からスタートするのがおすすめです。これらの施設では、少人数の利用者との関わりが中心になるため、業務内容を丁寧に学びながら実践を積むことができます。
逆に、しっかりスキルを身につけたい方には、特別養護老人ホームや老健施設などでの経験も貴重です。医療職と連携する場面が多く、資格取得やキャリアアップを視野に入れた働き方が可能です。
8. まとめ/次のアクション
滋賀県には多様な介護施設があり、それぞれの施設で働き方やキャリアの広がりが異なります。
自分に合った環境を選ぶことで、長く安心して働くことができ、スキルや人間力を高めることができます。
迷ったときは、地域の福祉人材センターやキャリアアドバイザーに相談してみるのも一つの方法です。
あなたにとって最適な職場がきっと滋賀にあります。施設の違いを理解し、自分らしい介護職のキャリアをスタートさせましょう。